三角比と図形(2)
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ソフト活用のメリット
従前,半径rの球の表面積が4πr2 になることは,効果的な教具を使用する,直観的な方法を紹介する,などの工夫により中学1年で扱われていた。例えば,球の表面を,あたかも蚊取り線香のように順に毛糸でまく,球の表面にまいた毛糸をほどく,同じ長さの毛糸を平面上で円の形にする,もとの球を大円で輪切りにしてできた円がおおよそ4枚とれることを操作によってみる,といった教具である。現在,小学5年で円の面積公式が導かれているが,その扱いによく似ている。また,半径rの球の体積が4/3πr3 になることを,小学5年の円の面積の求め方を,立体図形に類推する形で求めること(例えば,スイカを球の中心を通る錐体で切断して,V=1/3×4πr2×rを直観的に求める)こが従前,行われてきた。
この学習は,高校1年数学Tを念頭においている。上記の理由で,中学校数学の課題学習としても扱うこともできる。
半径rの球の体積については,いくつかの特徴的な性質が成り立つ。次の2つの性質はその中でもよく用いられる。
【特徴1】
半径rの球,この球に外接する直円柱,その直円柱に内接する直円錐がある。直円錐の体積をV1,球の体積をV2,直円柱の体積をV3とするとき,次の関係が成り立つ。
V1:V2:V3=1:2:3
【特徴2】
半径rの球に外接する直円錐で,その高さが球の直径の2倍(4r)であるとき,球の体積V2と直円錐の体積V4には,次の関係が成り立つ。
V2:V4 =1:2
●をドラッグすると、内接球の大きさを変えることができます。
●をドラッグすると、図形全体を上下に移動させることができます。
【特徴1】については,V
1,V
2,V
3の体積をそれぞれ次のようにして求めればよい。
V
1=1/3・πr
2 ・2r=2/3・πr
3
V
2=4/3・πr
3
V
3=πr2・2r=2πr
3
【特徴2】については,球に外接する直円錐を,直円錐の頂点と球の中心とを結ぶ線分(直円錐の高さ)を含む平面で切断し,三角形の相似,三平方の定理を用いて,直円錐の 底辺√2・rを導くことができる。これより,次の体積を得る。
V4=1/3・π(√2r)2 ・4=8/3・πr2 =2・V2
【特徴2】では,この直円錐の表面積も,球の表面積4πr2 の2倍になっている。
半径rの球に関わる【特徴1】や【特徴2】の性質を,半径rの大きさによらずに成り立つことを,動的幾何ソフトを活用して発見させたい。また,例えば【特徴2】において,直円錐を斜円錐にした場合にはどのように変わるか,【特徴1】と【特徴2】の双方にみられる直円柱の体積の関係はどうなるかについて,考察を一層深めさせたい。
活用シーンの具体的提案
〔学習の展開〕
- 半径rの球に外接する円柱と半径rの球に外接する直円柱でその高さが4r(球の直径の2倍)
であるものの双方をみせ,どちらが大きいだろうか,どのような関係があるかを問う。
- 大きさには体積と表面積の双方があること,体積について考察を進めることを確認す
る。なお,生徒の実情に応じて,表面積についても可能であれば考えさせたい。
-
動的幾何ソフトの操作を通して,次の2点を確認する。
- ア 半径rの大きさのよらず,外接する円柱と直円柱では「何か関係がありそうだ」という意識をもつこと
- イ 真上から,真正面からみた図など,特殊な場合に着目すると,球を媒介にして体積の関係の手がかりが得られること
- 球の中心を通る断面図などで,半径rの球に外接する円柱と直円錐の体積の関係を確認する。
- 半径rの球に外接する直円錐の高さを3倍などに変えた場合,
半径rの球に外接する斜円錐の場合には何がいえるのかなどを検討させる。